おかん。

おかん。

小さくて、髪の毛がクルクルで、いつもニコニコしている。
血液型はAB型。そうそう、うちの家族は全血液型が揃っている。
おとんはO型、
おかんはAB型、
お兄と妹はB型、
自分はA型だ。
お酒はほとんどお酒は飲めないけど、実家に帰った時、
おとんの晩酌に付き合って軽く1杯だけなどと、お酒を飲むときはある。
グラス1杯で酔ってしまうくらいの下戸だ。
体型の話をすると、胸がそこそこあるおかんだ。

おとんとおかんを東京に呼んで、両家の両親初顔合わせの時。
酔っぱらったおとんが、梨菜の両親に聞いてもいないのに、
「僕はね、鈴子(おかん)のね、どこに惚れたかっちゅうとね」
「おっぱいなんですよ!ワッハッハッハ笑」

なんて言うくらいで、初対面で、しかも息子の結婚相手の両親がいる、
人生においてそこそこな重要な局面であろう機会に、
そんなことを言ってしまう強心臓の持ち主だということは置いておいて、
おかんのそれなんて見た記憶なんて赤ちゃんの時くらいだし、
記憶はないが、おとんに言わせるとそうらしい。
話が逸れた。別におかんの胸の話なんてどうでもいいが、
いつも何かと口うるさいし、体裁を大事にする人だし、
現実的だし、かと思えば、夢がないなんて怒られたこともあるし、
心配性だし、頼まれたら断るのが下手な人だ。

おかんには決まり文句がある。
「当たり前」なんてキーワードが出てくると、必ず言っていた。
通常、「当たり前」と言えばベタなネタだが「あたり前田のクラッカー」だ。

だが、おかんは違う。
「当たり前の鶏のケツの穴」
もうなんのこっちゃか分からない。
なぜ鶏なのか、なぜケツの穴なのか、どうしてそうなったのかも分からない。

そんな少し変わったおかんの誕生日に、メールでやり取りした時のことだ。

自分:「・・・しかしあれやよね。誕生日ってのはいろんな人や事に感謝する日やよね。」

おかん:『そうやねぇ、おかんは昔から裕福な人生ではなかったけど、
不幸せだなんて思ったこと一度もないよ。全部に感謝しとるよ。』
いつもニコニコ笑ってるのはそういうことかと、
おかんの笑顔の起源というか根源というか、
おかんの心の根底にあるものを垣間見た気がした。

正直この人スゴいなって思った。尊敬すらする。
本人は意識してやってることではないだろうけども。
おれはあなたから「笑う」ということを教えられた気がしてるよ。

実家に帰省していたある時、その時もたまにはと

お酒をおとんと一緒に飲んでいて、おかんがトイレに立った。

そのおかんが急に倒れた。

慌てた。動揺した。かつてない程の焦りが同時にやってきた。
とてつもなく嫌な予感がして、うちの祖母、祖父は早くに亡くなっているが、
当時入院していた時のことが何故か頭を過った。

コンマ1秒にもならないくらいの刹那の瞬間に
いろいろな事が頭をかき乱した。
そして、慌てて居間から廊下の方を見て叫んだ。

「おかん!!!!!!」
電気もついていない廊下の奥で何か言っている声が聞こえた。

が、よく聞こえない。

次の瞬間、仄暗い廊下の奥から聞こえてきたのは、おかんのそれだった。
「ヒッヒッヒッヒッヒ、ハッハッハッハッハ・・・」
返事がない、ただの酔っぱらいのようだ。

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