本当に呑んだ◎
しこたまって、きっとこういう事を
言うんじゃないかってくらいに
呑んだ◎
火曜の夜
閉店間際に
ユキさんという
かっこいい兄貴みたいな
存在のお客さん
と軽く呑んでいたら
看板も伏せてあり
電灯も消した状態
つまり
『閉店ですよ』っていう
オーラを纏った
扉が開いて
このイケメンが現れた◎
ヤス
僕が昔からお世話になっている
吉祥寺の酒屋『大阪屋』さんの
息子だ◎
彼の
お父さんやお母さんには
かの井の村時代や三鷹青二才時代から
すごく良くしてもらった◎
ここ二年くらいか
いよいよ一人息子である
ヤスが大阪屋さんを継ぐ準備か
配達や、新商品の案内なんかをしてくれる
言わば、青二才に対しての窓口役に
なっている◎
年も若いし
色々勉強しながら
日々仕事を勤しむ
という姿が
たまらなく好きなので
『いつか一緒に飲みたい』
などと思っていたのだが
なかなか叶わなかった◎
そんなヤスが
『閉店時間なの分かってたんですけど
休みの日にこっちに来たんで、せっかくと思って
入ってきちゃいました』
って◎
【せっかくだから】
と言う言葉が大好きな僕は
一瞬にしてスイッチが入り
『よし、呑もう!』
となり
僕と
ユキさんと
ヤスで
しこたま呑んだ◎
しこたま呑んだあとさらに
ユキさん行きつけの荻窪にある
ワインバーに行った◎
んで、酔った
記憶は少ないが
そのバーを出たのは
きっと朝だった
起きたら、
家で、ベッドにしがみ付くように
寝ていた◎
梨枝様に
ゴメンなさい
と言うのと同時に
『あぁ、きっとヤスやユキさんに迷惑かけたな。。。』と◎
今日の木曜日は
11月の第三木曜日
言わずと知れた
ボージョレーヌーボーの解禁日である◎
その前日である水曜日は
酒屋さんにとって
品出しの忙しさがピークの日だ◎
そんな日の前夜に
散々飲ませて、連れまわして
ゴメンなさい。。。。。
と仕事前の時間を使って大阪屋さんに
謝りに行こうと、ふと思いついた◎
口から吐く息の
アルコール臭で
また酔いが回る思いだったが
なんとかJRに乗り
吉祥寺駅でプリンを買って
大阪屋さんに向かった◎
到着して思い出したのだが
【本日お休みいただきます】のシャッターが下りていた◎
(あぁ、たしか昨日、ヤスに聞いたような気が。。)
ま、プリンだけでも渡して帰ろうと思い
裏口へ回り、インターホンを押して
『青二才の小椋です◎
今日忙しいの分かってたんですが
昨日ヤス君を連れまわしちゃったんでそのお詫びに』
と◎
忙しい時に
謝罪訪問するなど
間違っている気もするが
ま、そんなことは
二日酔っ払いの僕には関係ない笑
『あらー!いいのにそんなー』と
インターホン越しでも笑顔が
見えるような声でお母さんが
出てくれた◎
そして、裏口のシャッターが開き
迎え入れてくれた◎
中に入り
手土産のプリンを渡そうかとしていると
品出し準備のされた
ボージョレーが大量に置いてある店内で
お父さんが、
『どうもどうも、お久しぶりです◎』と出てきて
開口一番に
『実はね、今日娘に子供が産まれたんだよ』
と携帯の写メールを見せてくれた◎
しかも、聞いていると
初孫だった◎
『まだ、会いに行けてないんだけど
後で行くつもりなんだ』と◎
自身がおじいちゃんになった
と、そんな日に
ボージョレーの作業もあり
と、そんな日に貴重な労働力である
ヤス君を飲ませすぎてしまった
のを反省して
プリンを渡した◎
ヤス君の姿が見えないのは
きっとまだ寝ているからであろうと言うのは
簡単に察知できた◎
すぐにでも
赤ちゃんに会いに行きたいだろうに・・・
しかし
次にお父さんから出てきた言葉は
『小椋君、お昼食べた!?一緒にご飯食べに行こうよ
こうやってせっかく来てくれたんだし◎ご馳走するよ◎』
いやいや
そんな、滅相も無い
と
一度は断ったが
再度出た
『せっかくだから』
の言葉の前に
『んじゃ、ご馳走になります!』
と◎
100%行き付けにしているであろう
大阪屋さんの近所の中華料理屋に入り
メニューから選んで注文すると
『小椋君、ビールなら入りますか!?』
と
自分の息に酔いそうなくらいなのに
さらに、ビールなんてプラスしても良いのか
と思ったのだが
心の中で
(せっかくだからお祝いの乾杯をしたい)
と思い
『ビールいただきます◎』
と◎
結局、ビールを二本飲んで
ご飯をご馳走になって
さらには
途中で起きてきた
ヤス君に
阿佐ヶ谷まで車で送ってもらい
仕事に就いた◎
お父さん
きっと一秒でも早く
孫の顔みたいだろうに
一秒も
嫌な顔せずに
突然訪問した僕を
受け入れてくれた◎
この仕事をしていると
ま、この仕事だけじゃなくてもそうだけど
突然、予想していたこと以外の
要素が飛び込んでくる時がある◎
小さなことで言えば
『すみません、沖縄旅行のお土産
今ここで食べさせてもらってもいい??』
とか
『今日一緒に飲んでいる同僚が
さっき話していたら、来週が誕生日らしくて
何かお祝いできない?』
とか
『メニューに無いけどパスタ出来る?』
とか
『予約時刻までまだあるのに、一時間も早くお店に来てしまった』
とかね◎
細かいことを言ったらキリが無いほどに
イレギュラーなことで溢れている◎
でも、そんなときに
一秒も迷わず、曇らず
笑顔で的確に迎え入れたい◎
と再認識した◎
兎にも角にも
昨日持っていったプリンは
謝罪の品から
お祝いの品へと
その場で名を変えた◎
世の中は
イレギュラーで溢れている
臨機応変が一番◎