温まる象

投稿日:2011年1月12日 道太

先に言っておくが

何年か前に流行った

夢をどうこうする象の話とは一切無縁だ◎

最近

僕らの仕事が終わり

家に帰る朝五時ごろに

おそらく東京は一番の寒さを迎える
時間となっている

エスキモーのような
僕のコートを持ってしても

手袋や
ヒートテックを持ってしても

その寒さの中で自転車をこげば

家に帰る頃には
芯まで冷え切ってしまっているのである

しかし、まぁ
家に帰りさえすれば

部屋は温かくすることもできるし

熱いシャワーを浴びれば芯のほうまで温かくなる

梨枝様も眠る直前までは
部屋に暖房をつけておくため
その余熱のような物もある

その日は違った

帰ると、ベッドの上に

布団と毛布が一体化したような
亀の甲羅のような塊があるだけで

かなり寒い部屋の中
まぁ、いっかと思い暖房のスイッチを入れたのに

部屋のエアコンがつかないのである

色々試したが

どうやら

こんなタイミングでエアコンが故障したのか
具合が悪いのか、とにかく
作動しないのは事実みたいだ

寒い中
中途半端にシャワーを浴びれば
湯冷めしてしまうなぁ

なんて考えながら

ベッドの上に横たわる
亀の甲羅のような物を開けてみた

布団と毛布の塊だと思っていた
その中から
布団と毛布と一体化した梨枝様が発掘された◎

さらにその中から
一つの象が

あぁ
お正月に
梨枝様の実家に行ったときに

梨枝のお母さんにもらった
湯たんぽだ◎

キャラ物が好きでない僕なので
あんまり部屋に人形的なものは
置きたくないのだけど

小さな頃から無類の象好きな
梨枝様の独断と偏見で
ベッド周りにだけ
象がいつも二匹ほどウロウロしている◎

象Aと象Bだ

象Aはやたらと
僕に安眠を求めてくる◎

時に
枕の代わりになるも辞さず
本家である
マニフレックスの枕の上に
どういうわけか横たわっている

つまり起きたら僕の頭の下にいることが多い

象Bはやたらと愛嬌をふりまき

ペルシャ絨毯のような触り心地を武器に
梨枝様の愛情を一身に受け
未だに梨枝様が勝手に撮った
僕のアイフォンの画像に居座っている

象Aも
象Bも

ここ二、三年はずっとベッド周りの
居心地の良い場所に鎮座しているが

最近になって
新たに象Cが現れた◎

それが
その湯たんぽだ◎

最近の湯たんぽは
プラスチックで出来ていて

そのプラスチック部分を包むのが
我が家の物は象デザインになっているのだった◎

その日

甲羅の中から発掘された梨枝様は
象Aも象Bも全く無視して

新しい象Cを抱えるように寝ていた◎

どうやら
帰ってきて

お風呂入って

エアコンの不調に気づいた梨枝様は
湯冷めしないように湯たんぽにお湯を入れ
布団と毛布との一体化を図り

どうこうしている間に
いつもの深い眠りについた模様

発掘されてから
さすがに目を覚ましたが

やはり
その寒さの中

象Cの愛くるしさは
各別らしく

また、それを抱いて眠りについていった◎

梨枝様が出勤した後

僕も、これは
と思い

象Cにお湯を入れなおしてみた◎

なるほどこれは温かい◎

寒い中、感動すら覚える◎

うんうん◎

熱っ!

キャップの締めが甘かったらしく
象Cの中から、入れたばかりの熱湯が
少しこぼれ出していた。。

しまった◎

すぐに不動産屋に電話して
エアコン修理の依頼をして
再び眠った◎

明日には修理の人が来て
エアコンが復旧する見込み◎

だが、一度僕に牙をむいた
象Cをもう一度
飼いならしてみようかと思う◎

ほんの数秒だったけど

エアコンよりも
なんか、気持ちの良い温かさがあったんだもん◎

そんな日記がアップされるこの時間
きっと我が家では飼いならされた象Cが
部屋を温めている◎

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