大学生の頃
学校から近所の友達が
三人でルームシェアしている家があった◎
毎日学校が終わると
バイトへ行ったり
飲みに行ったり
んで、夜になると
その家に週に三日くらいは
遊びに行っていた◎
んで
その家にも当然お酒を持ち込み
『飲もうぜ!』
って
朝まで飲んでいた◎
その時
その家で大流行したこと
『サシ風呂』
普通の大学生の住むワンルームよりは
広いものの、まぁ一般家庭のお風呂
だ
が
そこに、酔っ払いの男二人で入って
好きな女の子の話をしたり
将来の夢を語り合ったりしていた◎
当時は
温泉旅館の露天風呂
いや、
近所の銭湯に行って湯船に浸かりながら
話している感覚
を
その狭く、やたらと湿度の高い空間で
することで、
男同士の裸付き合い
をしていた◎
まぁ、イメージすると気持ち悪さしか出てこないと思うが笑
もちろんそこには何かあるわけじゃなく
バカな男同士が
飲んでいる最中に
閃いた、純粋な一興だ◎
思いつきで始まったサシ風呂は
その家に遊びに来る友人達の間に
見る見る広まり
時には、サシ風呂ではなく
連れ風呂に連れ風呂が重なり
4人ぐらいが一つの浴槽にひしめき合う
と言う
もうね、肌と肌が触れる
とかそんなレベルじゃなく
浴槽に入りきれてないヤツが
縁に座るため
目線の先15cmぐらいには
見たくも無いような酷い光景が展開されていた笑
今思えば、地獄絵図だ◎
が
そのサシ風呂は
ただでさえ単純な
男たちをやたらと熱くさせてしまう◎
普段、呑んでいる席では
話せないようなことまで
いとも簡単に相談できたり
語り合えたりしてしまうのだ◎
そう、語り合うために、毎日サシ風呂に
いや、その手前だから
その家に呑みに
行っていたのかもしれない◎
その当時、話していたこと
ほとんどは忘れてしまったが
一つだけ、強烈に覚えていることがある◎
『俺ら将来、みんなでビル建てようぜ』
ってことだ◎
酔っている人間のイメージは加速する
当時から飲食独立を目指していた僕だったので
『いいねぇ!なら、一階は道太の店だな』
他のメンバーにも当てはめて
『二階はあいつの事務所入れようぜ、三階は俺が会社入れるから』
いくつか小さいながらもイベントをしてきたので
『地下は皆で遊べるクラブ作ろう』
そして、最たるものは
『屋上はビアガーデンにしよう!』
『イイねぇ!』
妄想はタダだ◎
サシ風呂もタダだ◎
妄想の中で持った一つの箱(ビル)の中に
みんなそれぞれが自分の武器を持ち込んで
色を出していく◎
『俺はその箱作りに、こういう形で協力できる』
っていうスタンス◎
みんながそれぞれ、少しずつ力を持ち寄って
一つの箱にするイメージ◎
学生時代に会った僕ら
社会に出て、一旦はそれぞれの道を歩むけれど
その後また立派になって合流する、その場所を
心の中で持ち続けよう
と言うことだったのかもしれない◎
立派になる
その言葉はものすごく漠然としているけれど
今でも僕はその時イメージした立派と言うものをどこかで目指している◎
サシ風呂を出て
さらに語り合い、
空想は肥大する
『俺らみんなで本業とは別に
そこのビル運営のための会社やろうよ◎』
『男ばっかりだから、(男株式会社)だな』
『いや、それはさすがに濃すぎるから男は(ダン)って呼んで
DANコーポレーションにしよう』
って◎
『イイねぇ!』
『DANって【男】でもあり【談】でもあり【暖】でもあり
【団】でもあり【弾】でもあるしな』
なんていう風に色々こじつけたりした物の
結局は、ノリと閃きでしかないものだった◎
昨日、お店に呑みにやって来た
そのときのメンバーが
ふいに
『道太これ』
と言ってニヤニヤしながら一枚のカードを僕に手渡した
そのカードには
彼の名前が書いてあり
その右側に住所と電話番号
そして、住所の上に
【DAN Corporation ダン株式会社】
と記してあった
『会社作っちゃった』
って◎
本当は三月の中旬に登記するはずだったらしいのだが
僕の結婚式が震災の影響を受け延期になったことを知り
『なら、俺が記念日にしてやる』などとカッコいいことを言って
結婚式予定日だった4月1日に株式会社登記したらしい◎
まだまだ、本当にまだまだ
駆け出しすぎて、googleで検索しても
何も出てこないくらいの
僕らの夢
彼の会社
うまく行くかなんて分からない
でも、進みださなきゃ、うまく行くはずもない
夢は夢のままで終わり
時は流れ
自然に箱は現れない
誰かに夢を話し、それを共有した場合、その時点で
すでに一歩目だ
二歩目を踏み出す勇気
僕らの夢はまだ続いているみたい◎
お互い頑張ろうね◎
いつか最高のビールを
屋上のビアガーデンで!!