僕はタバコが嫌いだ◎
勝手な感情の押し付けかもしれないけれど
吸う時に、なぜか遠くを見るような
あのカッコつけた仕草がどうも腑に落ちない◎
会話しているのに
そこには二人しか居ないような状況なのに
タバコを吸った瞬間に遠くを見ながら
一人の世界に入られてしまう◎
遠くを見ないにしろ、勝手に一人で一息つけられてしまう、ようなね◎
(そんな人、そんな場合ばっかじゃないけどね)
吸わない僕からしたら
そんな空気感がどうも苦手なのだ◎
一緒に居るのに
どこか勝手に孤独を感じてしまう瞬間があるから◎
せっかく一緒に居るんだから!
と◎
先日録画してあった番組で
とある吹奏楽部の映像を見た◎
なんだか楽しそうにやってるなぁ
と思ったので、どこの高校だろう?
と思って注意して見ていたら
なんとご近所、杉並高校の吹奏楽部だった◎
指導者の方の
高校時代の思い出エピソードや
普段の練習風景などが感動的に流れ
その時点で少しだけ、もう、引き込まれていた
が、
演奏が始まって
もうね、圧巻だった◎
もちろん高校生だ
大人の世界や、プロの世界にはもっともっと
技術力が高い、演奏をするオーケストラも居るだろう◎
だが、杉並高校に引き込まれたところは
そこじゃない◎
そもそも、僕なんて音楽わかんないしね◎
1曲目はヤングマンだったっけか
それぞれのパートが実に楽しそうに演奏している◎
トランペットを吹きながらも
その顔が笑っているのが分かる◎
全員が笑顔で吹く◎
笑顔って口元だけで表現するものじゃあなく
口元がトランペットで塞がれていても、見ている方に伝わるもの◎
指揮者だったはずの先生は
演奏に併せて、スタンドで見てくれている観客の方に向かって
踊っていた◎
そんな指揮者の背中を見ながら
オーケストラは笑顔で演奏を続ける◎
それだけでも凄く楽しくて見ていて気持ちの良い、
心を奮わせられる映像だったのだけど
その映像で一番感動したのが
自分のパートがお休みの時間の使い方、見せ方◎
例えば打楽器が前面に出た時
小さな音のフルートなどのパートの子は
手が空く◎
普通なら、次のパートを待ち、自分のパートが来たら
また、楽器を口元まで運んで演奏を始める◎
普通はそうだと思っていた◎
だがこの杉並高校
自分のパートが終わると
次に自分が演奏を始めるまでの間
リズムに併せて手拍子したり
楽器を回してみたり
つまり、演奏だけが自分のパートじゃないのだ◎
演奏の途中で
立ち位置がぐるぐるするこの吹奏楽部ゆえに
その日、ステージの上で色々移動している間に
最前列で太鼓(のようなもの)を叩く子の楽器が
ステージ下に落ちてしまった◎
が
その子は一切、笑顔を崩さず
エアー太鼓を最前列でキメていた◎
音は決して鳴ることは無い
が、周りの太鼓の子と同じ動きをして
周りを信頼して一目散にスティックをリズム良く振り下ろしていた◎
周りの子もそれに動ずることなく
きっとその子の分まで張り切って演奏をしていた◎
そんな吹奏楽部
あの手拍子があってこそ
あの、エアー太鼓があってこそ
一つの若さ溢れる作品に仕上がったのだと思う◎
大人になると
自分のやるべきことと
自分が休めるところ
自分が上手く身を引くところを
長年の人生経験から主体的に判断し
オンとオフを使い分ける
だが
杉並高校の演奏には
それが一切無かったのだ◎
最後まで、全員で走り抜ける◎
すっごい、上手く弾けた子も
失敗しちゃった子も
楽器を落としちゃった子も
その発表のステージでは優劣無く
同じように手拍子をし、演奏しきるゴールを目指していた◎
曲は
ヤングマンのあと
ZARDの『負けないで』
や、『ロッキーのテーマ』など、若いとか、不屈とか、根性とか
そんなものをイメージさせる選曲
だが、はっきり言って古い、し、使いまわされているであろう選曲◎
でも、そのどれもが
今までで一番良かった◎
こんな、青二才のような小さなお店レベルでもそうだし
町や、日本に今求められていることの縮図を見た気がした◎
せっかく一緒に居るんだから
一人じゃないんだから、こそ、ね◎