キく酒

投稿日:2012年9月24日 kamiya

まだこの店がオープンして間もないころ、

それはそれは閑散として
開店から3時間お客さんが来ない事もしばしばあった。

暇を持て余した
ドウタと俺は、
“どうしたらお客さんがきてくれるか”

“何をしたらもっとお客さんが喜んでくれるか”

“自分たちに今できる精一杯の事はなにか”

など、ひたむきに二人で意見し合う。





ことも無く、





「飲食業なら全ての物を味見しろ」
という、教えを忠実に守り
『試飲会』

という名の元

自分の好きなジャンルの酒を中心に

ちょろっとありがちな感想を付けて

飲みあさっていた。


そんなある日、

その日は昼間から天気が良かった。

そのせいもあったと思う。


『本当に僕らはビールの味をわかっているのか?』

という

またもっともらしく、わざとらしい疑問を呈して

2種類しかないビールを前に

真剣なフリをして

その日もまた暇な時の恒例となった『試飲会』を始めた。



先ずドウタから。

ブラインドにして俺が青二才にある二種類の生ビールを注ぐ。



開け放った入口から

爽やかな秋風が心地よく入り込む夕方。


美味そうだ。

しかしこれは試飲。

と、ものすご~く少し自分に言い聞かせる。



テイスティングの基本。

先ずは色をみる。

そして次は香りだ。

その後やっと

粘度も感じるように慎重に口に運び、

そして舌先と喉元では違う味覚を総合して判断する。

そして出たドウタの答えは、、、






『両方ウマい!!!!!!』

に対し

『当たり前だ!誰が注いだと思ってんだ!俺だぞ!』



などと言って終わっていく低レベルの戯言に包まれた試飲会だったのだが

ふと思った。


 『ちなみにドウタ、どっちがどっちって分かって飲んでるよな?』


どっちがハートランドでどっちがブラウマイスターか、ということだ。

 『それは色だけで分かってたわ!  こっちハートランド!』


 





。。。



あかん、あかんぞ。


一片の曇もなく

本気でその間違いはあかん。




正直ぞっとしました。

そこからお互い無言で本気の試飲会をするようになったのです。





さて、次の店のコンセプトを色々最近二人で話し合っていますが、

どうやら少し日本酒にウェイトを置くことになりそうです。

そこで、

まぁ有っても無くても良いんだろうし、

受講料高いし、

何に使えるかまだ確証はないけれど、

けじめとして

12月に試験がある日本酒の利き酒師の資格を取れるようにドウタは勉強しております。


普段キクお酒が大半の我が青二才に

はたしてお酒を利くことができるのか、

乞うご期待。

そして次の店では利き酒師がおススメする日本酒に合う料理もお楽しみに。



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