- 2009年11月28日
- BY 道太
バーボン
18歳で岐阜から東京に出てきて
初めて住んだ町、そして、いったん外へ出るも
やっぱり今、住みだしてしまっている町
高円寺◎
右も左も分からない田舎者の僕を
拒否するでもなく大歓迎するでもなく
ただ、融けこませる
そんな街、高円寺◎
つまりはずっとずっと
田舎者の僕にとって
東京=高円寺という図でした◎
高円寺に住んでいる人
高円寺が好きでよく訪れる人
なら分かると思うのですが
この街を歩いていると
いきなり頭上から
『男ならバーボンを飲め。』
と言われるのです◎
文章上だと分かりづらいのですが
『男ならバーボンを飲め!』
ではなく
『男ならバーボンを飲め。』
と言う感じで淡々とスーパーニュースの安藤優子さんのような声で
一日中、スピーカーからある放送が流れているのです◎
これは
高円寺放送と言って
『一日数百万人の耳に届く高円寺放送♪』
『ぴんほー、ぴんほー、マージャンクラブピンホー』
『とーきょーほぉせきぃ~♪(東京宝石)』
などとバイタリティ溢れる宣伝放送の文句たちを
姿の見えない安藤優子さん似のおばちゃんが延々と読み上げると言う
なんだかとってもシュールな宣伝媒体◎
それが、高円寺の不可思議事項の一つとして有名な
高円寺放送です◎
その高円寺放送の中でも
群を抜いて、インパクトがあるのが
バーボンハウスという飲み屋さんの宣伝部分です◎
先述の『男ならバーボンを飲め。』
以外にもちょっと調べてみたら
『バーボン バーボン バーボンハウス。
ハウス バーボンカレーだよ。
ヒデキもカンゲキ。
ハウス バーボンカレーだよ。
バーボン バーボン バーボンハウス。』
『バーボン バーボン バーボンハウス。
今夜はなんだか眠れない。
人のぬくもりが恋しいの。
マスター… 温めて。
はい。
ホットバーボン。
バーボン バーボン バーボンハウス。』
こんなんを安藤さん(仮)がほとんど抑揚無く
淡々とナレーションするのです◎
あり得ないです笑
もうね、高円寺が日本のインドって呼ばれてるのも分かります◎
テープをリピート再生してるような放送ですが
このバーボンハウス部分では多くの人が
胃の少し下あたりからくる笑いのような何かを
こらえてるのが目に留まります◎
でも、これ、初心者ね◎
結局
すぐに慣れちゃうから◎
でも
慣れてしまうと、高円寺放送が無きゃ街に何か違和感を感じたりね◎
お酒はビールとチュウハイくらいしか知らなかった
上京したて当時の僕には
街に溢れかえる人、人、人
高い建物
数多あるお店
ロックシンガー
煙モクモクの焼き鳥屋
そして高円寺放送◎
高円寺と言う街がいちいちカオスでした◎
そんな僕にとっては
今でも、バーボンと言う言葉を聞くたびに
青二才でバーボンを出している立場ではあるのですが
お酒の味より、高円寺放送の安藤さん(仮)が脳裏に出てくるのです◎
インターネットでもなく
テレビでもなく
雑誌でもなく
音声だけの宣伝◎
視覚要素が無いと言うだけで
これほどに頭の中にビシッとと根を張るものなんでしょうかね◎
もし安藤さん(仮)がその辺のスーパーなどで
レジ打ちなんぞをしていたら
高円寺に住んでいる人は、きっと無意識に恋をするか
故郷に帰ってきたような安心感を覚えて
そのスーパー以外での買い物が出来なくなるでしょう◎
そしてかく言う僕もきっといつまで経っても
バーボンというものに対して
何よりも先にこの放送が出てくるのでしょう◎
心に残る宣伝
バーボンハウスにもいつか行けたら
きっと、心でその味を味わうのでしょう◎