妹へ

今日この日に、新しい家に嫁いで行く妹よ

おめでとう◎

何が思い出に残っているんだろう

と思い起こせば

脳裏に出てくるのは

なんか、辛いことが多かったのかな

小学校のころ
貧しい生活の中
他の家の子たちはジュースやお菓子や
ファミコンなどが普通に常備されているような家で
うちの家にはなんでそれらが無いんだろう
何が違うんだろう

それでも僕ら兄弟は家に帰れば
近くの山に秘密基地を作ったり
そばの川に行ったりして遊ぶことをみつけていたな◎

僕ら集団登校をしていた時
学校からかなり離れた地域だったので
毎日毎日、一時間くらいかけてみんなで歩いていって
   
そんな地域の同い年や年上の集団の中で
なぜだか僕がいじめに遭い

ま、一人でいじめに遭うならば
その一時間だけ我慢すればいいのに

二年後ピカピカの一年生である君が入ってきた時
僕の妹だからと、一緒になっていじめに遭っているのをみて
本当に辛かった

辛い時にグッと我慢し下を向いて歩き、こらえながら
一緒に集団登下校して、それでもなかなかその状況を
親に言えないなんていう子供ながらの状況もありつつ

本当に守ってやれなかったのが辛かった。

新入生なんて初めての事だらけで
頼るのはお兄ちゃんしか居なかっただろうに

それでも君は、登下校の道々に咲いてる花や
野いちごや、栗なんかを拾って帰ることに楽しみを見つけてくれたり

家の中では辛い顔をあんまり見せずに
振舞ってくれていたり、それに僕は何度も助けられた◎

そんな生活も引っ越して
家が商売を始めて、貧しさの中から順に出ようとしている時に
僕ら二人がしていたアルバイト新聞配達

ま、朝早いわけで
いつも配達から帰ってくるとそれぞれご飯食べてたね◎

ある普通の日、配達から帰ってきて
一本の電話が鳴り、それを取った君は
いきなり泣き崩れた

父の死だった

両親どっか行ってるんだな、としか思ってなかった僕らに
交通事故というあまりにも突然のその報告に
一気に泣き崩れる君を見て

どうしていいのか分からなかった

もう家族に男は俺しか居ない
支えなきゃ

とは思うもののどうしていいのか分からなかった

それでも、その日僕と君と嘉子の三人で
迎えの人が来て、家を出る前に
『とりあえず、お母さんだけはこの先悲しませないようにしよう』

と約束したんだよ。覚えてるかな

ま、結果いっぱい悲しませたりもしたんだけど
きっと、その日があったからこそ
普通の家族が居る、生きているという喜びが
何倍にも何十倍にもふくれたんだと思う◎

そんな辛いことがすぐに出てくるものの

もっともっと思い返せば
普通にテレビを見て大笑いしたり
車の中でも笑いまくっていたり
食事の最中も噴き出して息が吸えないほどに笑ったり

なんで、何について笑っていたかは
思い出せないような些細なことだったけれど

結果、いつでもどこでも笑いまくっていたような
気がします◎

これって、きっとすごいことで
どんな辛いことなんかがあっても
最後はきっと笑っているんだよ◎

ものすごく辛いことの代償になるのは
ものすごく幸せなことや、ものすごく大量のお金や
そんなんじゃないかもしれない

でもね、ものすごく辛いことがあったとしても
その先、普通のことで喜び合えちゃう、笑い転げちゃう
のが、この28年間、同じ小椋という苗字で僕が見てきてそう思う◎

そして同じ苗字で育ってきた
育ててきてもらった僕らの強みだと思う

これはね、すごいことなんだから!

きっと大丈夫だと思うけれど
陽子もそんな家庭を家族を築いていってください◎

幸せにされに行くんじゃないよ

旦那ケンチャンと一緒に幸せとか笑顔作っていくんだよ◎

苗字より何よりも
君が引き継いでいくのは
小椋家が持たせてあげられるのは
そこなんだから◎

まぁ、長くなってしまったけれど
嬉しいなぁ、本当に嬉しいなぁ

本当に本当に本当に嬉しいなぁ

泣けてきちゃう

おめでとう◎

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