一日と一時間
【小椋家構図】
母・・・ヒナエ(ヒナちゃん)
僕・・・長男(道太)
長女・・・陽子
次女・・・嘉子
陽子の旦那・・・ケンチャン
ね◎
まぁ、必要ないと思うけど。。
16時
陽子の陣痛が始まる
実家に居る嘉子からメールが来る
ヒナちゃんが病院に付き添いに行く
道太の緊張が始まる
17時
嘉子からのメールを
イトコや親戚に一斉転送する
道太緊張のあまり
嘉子に電話連絡する
陽子の陣痛がまだ、軽めのものと知る
18時
営業が始まる
道太仕事が手につかず
一階と二階を、用も無いのに行き来の連続
19時
道太未だ手につかず
20時
ケンチャンの友人たちが
青二才にやってくる
みんなでその瞬間を待ち侘びる
ケンチャンにも電話をする
電話の向こうで、落ち着いてないのが
目に見えるかのごとく変な喋り方をされる
21時~23時
一階席にどんどんお客さんが入る
元スタッフ、蘭から手紙とお祝いのスイーツの差し入れ
お客さんのトゥーさんからお祝いスパークリングの差し入れ
をいただく
23時~
だいたいのお客さんが帰り際に
『おめでとう!おじちゃん!』と
言って帰っていく
完全なるフライングだ
未だ落ち着かない
嘉子から再メールが来る
『お姉ちゃんがんばっとる!!
ものすごく!!
赤ちゃんも!!!!
あとちょっと、あとちょっと!
応援しか出来んけど、やっぱり母親はすごい!!
ひなえさんの60回目の誕生日に
お母さんの偉大さを今までのを覆されちゃうくらい
感じとるよ・・・』
涙が出てくる
ありがとう
と
がんばれ
を
足して100倍くらいの感情で覆いつくされる
この嘉子からのメールも親族に送信
0時
ヒナちゃんの60回目の誕生日が終わる
その場に居た、お客さんバッシーの誕生日が始まる
テキーラでカウントダウンする
親族からも返信が来る
1時
お祝いのお酒をたくさんもらう
が
全く酔わない
2時
営業終了
〆作業しながらも
手元に携帯も電話の子機も置いておく
〆作業進まない
3時
神谷と話していて
お客さんで来てくれた【山ちゃん】が
『産まれたらこれで乾杯してよ◎』と
シャンパン代を、こっそり置いていってくれたことを知る
山ちゃんかっこいい◎
さすが世界のチャンヤマ◎
4時
未だ、電話鳴らず
5時
一階のカウンターに
携帯と子機を置いたまま
うつ伏せになって待つ
が
眠れない
6時
未だ電話鳴らず
7時
そうとうな難産なのか、と心配になり
しびれを切らして、嘉子に連絡する
『あれ?メール届いてなかった!?』
と
『5時半過ぎに無事に産まれたよ◎元気で大きな男の子やよ』
と
産まれていたことを知る◎
ホッとする◎
電話連絡無くても
せかせかなんてしない◎
小椋家タイマー健在◎
無事に産まれてきてくれた事
無事に産めた事
これだけで十分◎
11月26日午前5時37分
未だ、名前の決まっていない彼が
一日と一時間かけて世界に登場した瞬間に
陽子はママになり
ケンチャンはパパになり
僕と嘉子はそれぞれ
おじさんとおばさんになり
ヒナちゃんはおばあちゃんになり
その誕生で一気に
いろんな新しいタイマーが動き出した◎
宮崎に居たケンチャンは
朝一番の飛行機に乗って岐阜に飛び立った
宮崎のお父さんは
男の子が産まれたと聞いて
さっそく、5月にある初節句のための
幟(のぼり)を立てる木を山に切りにいった
岐阜のヒナちゃんと嘉子は
夜通しの付き添いが終わり
また、その日の仕事に向かうため車に乗った
東京の僕は
時間はあるのに手がつかずに残っていた
〆作業を進めた
そして今、多くのお祝いの言葉を
親族や、友人、お客さんから
いただいている◎
人の誕生ってすごい
世界の時間が変わる◎
昨日
営業中
泣いてしまったのは
陽子ががんばっているのが分かったから
陽子が痛みに耐えているのが想像できたから
そんなに苦しいのに『早く赤ちゃんに会いたい!』って
メールをくれた陽子の気持ちが分かったから
そしてケンチャンやヒナちゃんはじめ
みんなが陽子がんばれ!って
応援してくれているのが分かったから
よくがんばったね◎
早く恵那に帰って、
誕生した
新しい命に触れてみたい◎
きっとこの先大変なことも
たくさんあるだろうけれど
今はそんなこと考えられない
なんだ世界は素晴らしいことだらけじゃないか
と思ってしまう◎
きっと彼もそう言っている◎
はぁ、良かった~◎