母の教育
8月7日
僕を除いたメンバーは、青森の地
ねぶた祭りの疲れで
まだテントの中で眠りの中にいる頃
午前五時に僕は名古屋の地にいた◎
この夏
三度目の岐阜への帰省のためだ◎
だが、毎回全部趣旨が違う◎
一度目は7月21日
青二才スタッフと一緒に
二度目は7月31日
きじや最後の営業日に
そしてこの三度目は8月7日
梨枝様も一緒に、の帰省なのだ◎
話は遡り、7月31日
きじやの最終日
同じく5時ごろに名古屋に着いた僕に
ヒナちゃんから
一つのメールが届いた◎
『今日何時にこっちに着くの!?!?
もし早く着くなら、サーモン仕入れに行くけど一緒に養殖場に行かない!?!?
物語のあるサーモンです』
ん!?!?
あれ!?!?!??
今日、最終日だよね!?!?
なんだろこの緊張感の無さ◎
最終日独特の卒業式のような、引越しの日のような
今まで人生の中で何度か味わったことのある
ソワソワ感の過去最大級のものを感じていた◎
おかげで
深夜バスの中で、眠れずにいた僕だったが
それでも
眠れない理由をバスの揺れのせいにして
名古屋からの電車は、しっかり寝てやろう
と思っていた所に
一瞬にして肩の力が抜けるような
このメール◎
おかげさまで
名古屋からの一時間は
電車の中で寝て、あっという間だった◎
実家に着くと
すぐに、『じゃあ行こうか』
となり、車で山の麓まで向かった◎
車内
『今から行く養殖場はね、普通の鱒は一年で出荷しちゃうものを
研究しながら三年かけて大きくして、サーモンみたいなサイズに育てることに成功して
それをね、全国に広めて行きたい!ってすごく熱い人がやってるところなの』
他にも
何年か前の大雨で、その養殖場の裏山が崩落して全部駄目になっちゃって
でも、駄目になった池のそばで、まだ、きれいな湧き水がこんこんと出ていて、それを見て
「あぁ、俺がやらなきゃな」って復活させた場所であることや
『ネーミングのサーモンって言うのは、なんとなく私が言ったら「そりゃいいね!」って
なって、使われだすようになった』と言う事
今では、岐阜県の名産品の一つとして
各所で行なわれる催し事にも出るようになったこと
そして何よりも
味がすごくいい!どこへ出しても満足してもらえるようなものが
恵那にはあるんだよ
と言う事◎
などを聞いた◎
んで、実際
養殖場に行き
サーモンを仕入れ
『今日来てくれる人にはこれも振舞うの』
とキラキラした目で言いながら帰途に着いた◎
再び
話は戻り
8月7日
きじやの営業ももう、無いこの日◎
なぜ、僕と梨枝様が恵那に向かったのかと言うと
『今までお世話になった人にちゃんとお礼を言う』
という為だ◎
これには
僕ら夫婦だけでなく
宮崎に嫁いだ陽子の夫婦も
来年結婚する
嘉子のカップルも呼ばれ
小椋家として
ちゃんとお礼を言う、という作業なのだ◎
今までありがとうございました
と
心からお礼を言うことと
同じぐらい
大事なのは
それに続く
これからも宜しくお願いします◎
の部分◎
つまり、終わりだけど
終わりじゃないと言うか
一つの区切りを
感謝を持って節目にし
新たなスタートをするのだ◎
きじやが終わる日
ソワソワしていた僕に
ヒナちゃんが見せてくれたものは
養殖場だけでなく
まだまだ、続くんだよ◎
と言う意味◎
人と人が繋がる
ってきっとそういうことなんだと思う◎
この日
今まできじやで働いてくれた
20名ぐらいと、僕らの家族と、新しい家族
全てが一堂に会し
食事をした◎
僕らが小さい頃から
見守ってくれた、きじやのスタッフさんたち◎
ずっと、繋いでくれた人たち◎
本当に気持ちよく
心からお礼の言葉が出た◎
会の後半で
みんなの前でしゃべらせてもらった◎
『僕は色んな人に支えられて見守られてこんなに大きくなりました◎
僕の周りには素敵過ぎるぐらい素敵な人だらけで本当に幸せです◎
東京で暮らしていると、どうしても自分が主人公なんじゃないか、と
思ってしまったりもするんですが、
こうやって昔の僕も知っていてくれる人
ずっと支えてきてくれた人、
これからも関わっていくであろう人に囲まれていると
やはり、僕もきっとどこかの一員なんだと素直に思えるのです◎
ただ、そこには主人公じゃなきゃ嫌だなんていう幼稚なエゴのようなことは思いません◎
人に囲まれていることが本当に幸せだと思うし、僕も誰かを囲む一人になりたいと思ったりします◎
それに気づかせてくれたヒナちゃんの教育は何よりも素晴らしいと思うんです◎
あ、あと、もう一つ
家族について話すとき、どこへ行っても自慢してくれるんです
これも素敵な教育の一つだと思ってます◎
今日一緒に連れてきているのが
僕の素敵な素敵な奥さんです◎
やっと、今日紹介できましたが今後とも宜しくお願いします◎』
ってな感じだったと思う◎
今書いてるとちょっと恥ずかしいけど
たしか、こんな感じだったと思う◎
僕もいつか自分の子供に
こうやってちゃんと教えてあげることが出来るのかな◎
一人じゃ生きちゃいけない
そのためにはちゃんとした感謝の方法を知らなきゃね◎
勉強なんて
小学校3年生ぐらいまでしか
教わってないと思うけど
本当に
いろんなことを学ばせてもらってる◎
とっても素敵なお母さんです◎