記憶
久しぶりに
鯒を捌いた◎
読めない人がほとんどだと思う◎
こち
って読むんです◎
白身の弾力のいい魚で
淡泊ながらにそのしっとりとした身は
上品なうま味が凝縮されてる!
みたいな感じでしょうか◎
この魚、海の底の方に住みつく魚ゆえに
骨の形というか
配列が他の一般的な魚と違うのです◎
普通はないような所に骨があったり
しかもものすごく湾曲していたり◎
なので、鯵や鯛などとは違い
ちょっとコツが必要だったりするのです◎
一人で仕込みをしていると
以前、仕事をしていた時のことを思い出します◎
朝早くに行って、自分の仕事を終え
そこからできた時間で魚のさばき方を教わってました◎
教わると言っても
ちゃんとした授業などではないわけで
料理長がお店に来て
魚をさばくタイミングに
僕は仕事が終わってないといけないわけです◎
朝、誰よりも早くお店に行き
色々な雑務をこなした後に
その日の魚を捌くのですが
やはりそれは授業じゃないので
まぁ、怒られるわけですよ◎
包丁の角度が悪いから、身がガタガタになってるじゃないか
水を当てすぎだから、こんなにしまりが悪くなってるじゃないか
この内臓だけは、絶対に破るなと言ったのに破れてるじゃないか
サンプルではなく
その日に使う食材を僕が捌いているから
当然、その捌き方如何でその後の食材、料理の
道筋がぐちゃぐちゃになってしまう危険性もあるのです◎
怒られて当然なのですが
その当時はそれも分からず
なんでそんなに細かいことを!
と思ってたりもしたのでした◎
同じことで何回も怒られたくはないのですが
分かっているけど簡単には出来ないものも世にはたくさんあるわけで
同じことを何回も怒られたりもしました◎
そのたびに悔しい思いをしたのを覚えています◎
が
今回
久しぶりにキッチンに入り
仕込みの時間に魚に触れるのですが
怒られた記憶と同時に
包丁が動くんです◎
頭で考えてもよく分からないのですが
勝手に手が動き、魚を捌いていくのです◎
そのたびに
今さらになって
なお一層、当時の料理長への感謝と
早起きしてやっていた努力が報われる思いであふれてきて
一人で、何度も泣きそうになってます◎
中途半端にやったことは
すぐ忘れてしまうけど
本気でやったこと、本気で怒られたこと
本気の事はなかなか忘れることはできないんだ
いざと言う時に自分の身を守るのは
それまでの経験だと思います◎
将来の自分を守るには
今、本気にならなきゃいけない◎
それまでで本気になっていた時の自分が
自分を守ってくれるのです◎
鯒を捌きながら
涙が出そうになった僕
今、本気になれているか?
と問えば
本気です!
と答えることできそうだ◎
暗中模索だけど
日々前進◎
新しいことにどんどんチャレンジしていかなきゃね◎
心が錆びないうちに、常に本気の自分でいられるように◎
しかし、鯒は美味いな◎