空箱
静寂の店内
冷蔵庫のモーター音と
たまに聞こえる自転車のペダル音ぐらい
昨日まで人でごった返していたのがまるで嘘のように
静かなこの時間、今日
いつかまた新しいお店が出来て
たまにしかこの通りも来なくなって
昔の写真でしかこの店を見る事が出来なくなり
ぼやーっとしか思い出せず
この閉まり切らない窓の隙間
調整したのに、ぐらぐらするテーブル
なかなか素直に降りないシャッター
思い出したくても細かい所なんか忘れてしまう時が来るかもしれない
思い出したくても
忘れたくないといくら強く思っていても
それが100%の状態で叶う事なんて無いだろう
それでも僕は思い出したい
この空気、この温かさ
僕一人じゃ、覚えていられないほど
中身の濃い、とてもとても充実した
また、走り抜けた8年間でした◎
忘れたくなくても、きっと忘れちゃう
だから、その全てじゃなくとも
皆にも覚えておいてほしい
ここじゃないどこかでまた乾杯をする時のつまみにしてほしい◎
阿佐谷北のこの場所に青二才があり
そこで出会えて共に飲み
共に泣き、共に笑ったこの場所、この時間を
お金はあんまり残らなかったし
時間や労力だけはものすごく使った8年間
人と人との中継店でありたい
皆で作るサードプレイスでありたい
この静寂の中で思う
どこにも負けない、誰にだって誇れる
温かい人達と繋がれたこと◎
最終日前日
神谷がトイレの鏡に書いた事
八年間キレイに使ってくれてありがとう!!
最終日が終わりトイレに入ると誰かが書き加えていた
いつもキレイなトイレをありがとう!!客一同
8年間毎日使用してきたとは思えないぐらい綺麗なままのトイレ
毎日スタッフがちゃんと何度も清掃をしてきた
それ以上に、青二才にはトイレをキレイにしてくれるお客様がいた◎
それも何人も◎
「ペーパー補充しといたよ」
「蛇口周り拭いといたよ」
「ゴミ袋そろそろ変えた方が良いかも」
ただ飲みに来てくれているだけではない
こちらが近づきたいと思っているのと同じぐらいに思ってくれている
50:50
で良いと思ってくれている
それが気持ち良いと思ってくれているお客様がいる
僕らの8年間、ただそれだけで
もうね、ただそれだけで良かったと思える◎
いつかもうちょっとしたら
いろんな荷物も搬出して
空箱が出来上がる
そうなったらいよいよ
忘れたくなくても忘れちゃうから
僕からのお願い、
みんなで覚えておいてください、この阿佐谷北の青二才を◎
さて、次のステージが明らかになるまでちょっと待っててね◎