そのオトコ酔っ払いにつき
今から8年ぐらい前になるのかな
井の頭公園でブルーシートを広げて
焼酎を毎週持ち込んで、今の青二才の
前身の前身のような『井の村』をやってた頃
当時の公園は
今のような規制も無く
音楽をやる人たちがとにかくたくさん居た◎
例のごとく
日曜日に焼酎を持ち込み
公園に居る知らない人たちを
初めて会った人たちをどんどんブルーシートに
呼び込んで一緒に飲んでいたとき
少しシートから離れたところに
他の音楽人とは違う、明らかに
持っているものが違うバンドが居た◎
ボーカルは女の子
ギターは男の子でアンプを繋いで
そしてドラムセットを公園に持ち込んで
ベースはでっかいウッドベースを◎
もうね、その姿だけで
一気に好きになってしまい◎
『お酒あげるからうちのブルーシートで一緒にやろうよ◎』
と
未だに色褪せることなく
あの時の時間を忘れないくらいに
覚えてる◎
澄み渡る声と
楽器の音たち
公園の雑踏と
酔っ払いの手拍子◎
四位一体になって
最高の日曜日を毎週過ごしていた◎
その中の一人
大策(だいさく)
その日をきっかけに
公園でもプライベートでも
よく飲むようになり
当時、酔っ払って
頻繁に家の鍵を無くしていた僕は
もしもの時の保険のために
何人かに合鍵を渡していたこともあった◎
家が近所だった大策にも渡していた◎
まぁ、結果
保険というよりも
大策始め、何人もが
僕の家に入り浸っていたけど
それはそれで楽しかった◎
ある時なんて
一週間ずっと
仕事後に家に帰ると誰かが
家に居て、酒を持ちこんで
僕の帰りを待って『呑もうぜ!』
ってなってた◎
まぁ、めちゃくちゃな時期だったな笑
20代前半なんて
もう、本当に
みんながみんな
迷いの中に居たから
その中でも
大策は極めて繊細で
よく心が折れていて
そんな時には、相手が誰だろうと
『一緒に飲む』しか対処法を知らない僕は
さんざん共に朝まで呑んだ◎
環七の上を渡る歩道橋の上
僕の家の狭いベランダ
高円寺の駅前ロータリー
部屋だけでなく
ありとあらゆるところで呑んでた◎
僕よりも、いくつか年下の大策は
そのときの僕の去年の姿を見ているみたいで
つまり
一年前の僕が目の前に居るような感覚だった◎
大策が居た場所よりも
一年だけ年上の僕は
それなりに、偉そうなことを言っていたと思う◎
僕にとっちゃあ
弟と友人の間みたいな感覚なのかな◎
そこからしばらくし
僕も引っ越したり
大策も引っ越したり
青二才が出来たり
大策も色々活躍したり
気が付けば
毎日のように飲んでた日々が
思い出になり
一年のうちに
一回、会うくらいになってた◎
今思えば
縁も繋がりも
その後の関係も不思議でしかないけれど
でも、なぜか
そんなんでも、安心して呑める◎
僕らにとって
あの、青の時代があったからこそ
今、お互いにそれぞれのステージで頑張れている◎
思い出って強い◎
さんざんに酔いを共にした大策が
昨日結婚式を挙げた◎
公園で出会った
メンバーも何人か来ていた◎
きっと、この大策も
ずっとずっとの中継点なんだろう
と感じた◎
僕も、友達も
大策も、これからまたずっと
それぞれの所で生きていき
時間や場所の軸が重なる時に
また呑むんだと思う◎
でも、それでいい◎
いつだって、あの部屋に戻って
呑める、そんな合鍵をきっと持ってる◎